恐怖の世界
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作品の素性
1ビットの画面の向こうに、何かが棲んでいる。
『恐怖の世界』は、伊藤潤二とH.P.ラヴクラフトへの敬意を核に据えた、ローグライト形式のRPGだ。プレイのたびに異なる顔を見せる怪異との遭遇、そして一度下せば取り消せない選択肢が、静かに、しかし確実にプレイヤーを追い詰めていく。
モノクロの簡素なビジュアルは、却って想像の余地を広げる。何が起きているのかよりも、何が起きているのかわからない、という感覚。本作が纏う不安はその種類のものだ。
不可解な事件を巡るたびに変容するこの世界では、正解を積み重ねることよりも、どこまで耐えられるかを問われている気がする。謎の先に何があるのかは、ここでは語らない。語れない、と言うべきかもしれない。
インディー作品ゆえ、万人向けとは言い難い。刺さるかどうかは、あなた自身の肌が知っている。
こんな人におすすめ
向いている人:伊藤潤二やラヴクラフトの作風に親しみを覚える人、あるいは1ビットのモノクロ表現に美しさを見出せる人には、本作の空気はしみ込むように合うだろう。ローグライトゆえにプレイのたびに展開が変わり、繰り返しの中で少しずつ不気味な真相へ近づいていく構造を楽しめる辛抱強いプレイヤーに向いている。容赦のない選択肢と理不尽な死を、ゲームの個性として受け入れられるなら、その先に待つものは深い。
向かない人:ローグライト特有の繰り返しとランダム性に苦手意識がある人、あるいは進捗が巻き戻るたびに気力が削がれるタイプには、本作の構造は純粋なストレスになる。またインディーRPGの粗さや、1ビットのシンプルなビジュアルに価値を感じられない人にも、正直なところ勧めにくい。ホラー的な雰囲気よりも明快な物語の進行を求めるなら、別の作品を探したほうが時間を無駄にしない。
みんなの囁き
ピクセルアートの質感と音楽への評価は高く、コズミックホラーらしい不気味な雰囲気を丁寧に作り込んでいる点は好意的に受け取られている。ローグライト要素やTRPG風のシステムを気に入るユーザーも多く、実績解除がコンテンツ開放と連動する構造がリプレイを促す設計として一定の支持を得ている。
一方で不満も目立つ。PVと実際のゲーム内容の乖離を「詐欺」と表現するレビューが複数あり、期待値を大幅に下回ったと感じたユーザーは少なくない。ランダムイベント間の文脈的なつながりの薄さ、運要素の強さ、難易度バランスの問題も繰り返し指摘されている。さらに開発の動きへの不信感も根強く、予告されたアップデートや追加コンテンツがなかなか届かない点に失望の声が出ている。
雰囲気ゲーとして割り切れるかどうかが評価の分かれ目となっている作品で、セール時を狙ってから判断するのが無難だろう。