久我山栞の死様手帖
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作品の素性
死んでいる。それも、何度も。
久我山栞という霊は、カジュアルに自殺を繰り返す。そのたびに死に様を刻む手帖があるとしたら、それはどれほど奇妙な記録になるだろうか。
本作はLaplacianによるホラー系ミステリー・ビジュアルノベルで、オカルトコメディを基調としている。笑えるのに、どこかが薄気味悪い。その温度差が、物語を読み進める上での独特の引力になっている。
プレイヤーは栞の死因と未練を探りながら、ある事件へとたどり着く。コメディの外皮の下に何が埋まっているのか、それは読み終えるまでわからない。軽いはずの死が、積み重なるほどに重くなっていく。
カジュアルというタグは正しく、間口は広い。だが、受け取るものが軽いかどうかは、また別の話だ。
セール価格での購入を検討しているなら、焦る必要はない。ただ、手に取るなら、夜の静かな時間を選んだほうがいい。
こんな人におすすめ
向いている人:オカルトやホラーの雰囲気を楽しみながら、重くなりすぎない読み心地を求めている人に向いている。「カジュアルに自殺を繰り返す霊」という設定が示す通り、死をコメディの文脈で扱う作風であり、笑いと謎解きが混在するビジュアルノベルとして読める。Laplacianの作品に親しみがある人や、軽妙なテンポの中にじわりと滲む不穏さを好む人なら、最後に待っている真相まで自然に連れていかれるはずだ。
向かない人:自殺という題材がコメディの道具として繰り返し登場する点に、最初から抵抗を感じる人には合わない。また、重厚な恐怖体験や純粋なホラーとしての緊張感を求めている人も期待とすれ違う可能性が高い。タグに「カジュアル」とある通り、ゲームプレイの難度も含めて全体的に間口を広げた設計であり、歯ごたえのある謎解きや濃密な演出密度を期待すると物足りなさを感じるかもしれない。
みんなの囁き
記録を辿るような読後感が、ユーザーたちの言葉ににじんでいる。
称賛の声で目立つのは、主人公とヒロイン・栞の掛け合いの妙だ。主人公の突飛な言動にヒロインが引き気味に反応するコメディタッチのやりとりが「かわいい」と繰り返され、フルボイスの演技と丁寧なイラストがそれを後押しする。トゥルーエンドに到達したプレイヤーの多くが「泣いた」と書いており、伏線の回収と感情的な着地点への満足度は高い。ホラーとして構えるより、コミカルな会話劇を楽しむ気持ちで臨んだほうが馴染みやすいという声も複数ある。
一方で不満点も正直に挙げられている。価格については「セール時が妥当」という指摘が繰り返されており、定価3,000円台への割高感は無視できない。トゥルーエンドへのフラグ管理がわかりにくく、フローチャートやセーブスロット数の不足を惜しむ声もある。ミステリー色やホラー色を強く期待すると肩透かしになるという前置きも、複数のレビューに共通している。
小品としての完成度は高く、セール価格であれば後悔しにくい一作という評価が全体の底流を成している。