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中庄町丸いも娯楽会オーナー JA根上丸いも部会部会長 本 忠義 Moto Chugi 能美市中庄町在住
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まちづくりキーパーソン vol.10 国の地理的表示保護制度(GI制度)に登録 「加賀丸いも」でつなぐ地域の未来

国の地理的表示保護制度(GI制度)に登録
「加賀丸いも」でつなぐ地域の未来

中庄町丸いも娯楽会オーナー JA根上丸いも部会部会長 本 忠儀 Moto Chugi 能美市中庄町在住
■「あんた、丸いもやらんか」

 私は60歳まで会社に勤めていたので、何十年も前から、丸いも栽培をやってきたわけではないんです。父母も撚糸の仕事をしており、農業とはあまり関係のない家でした。
 62、3歳の頃、近所の丸いも農家の人が病気で作れなくなったことから、「本さん。あんた、丸いもやらんか」と誘われました。私も会社を定年退職してから「すっことないし(することがない)」、「でも、そろそろ何かせんなん」と思っていたので、新しいことを始めるには、ちょうどよいタイミングでした。
 その年の7月。畝上げや植え付けは終わっており、支柱に蔓(つる)を誘引する時期でした。田んぼ2枚分(10a)を引き継ぎ、教えてもらいながら、もう無我夢中。初めて丸いも栽培を経験し、収穫することができました。


■楽しく、芋づるのようにつながろう

 ご存知のように「加賀丸いも」は100年の歴史をもつ作物。栽培できる畑はその地域の適した土地だけで、どこでも作れるというわけではありません。だからこそ住民として愛着があります。
 「中庄町丸いも娯楽会」は平成25年2月に設立。年々作付けが減少傾向にある「加賀丸いも」をどう守り、どう次世代へつないでいくかを考え始めたのがきっかけです。中庄町(なかのしょうまち)は500人ほどの町ですが、町内で会員を募集したところ、農家以外の人が8名集まりました。楽しく活動することを基本に、栽培を通じて地域住民との交流、担い手の育成、消費の拡大を目指しています。
 メンバーは中庄町の畑の一角で栽培に取り組んでいます。3~4月は種いもの準備、畝上げ、植え付け、5~6月は支柱立て、6~8月は蔓(つる)巻きや草取り、10月は翌年分の畝上げ、11月は収穫。私はどうも毛虫が苦手ですが、蔓(つる)から葉が出てきた時などは可愛らしく、生育が楽しみです。自然に癒され、収穫高が収入につながります。達成感とやりがいを感じています。


■地域住民や行政との協働

 「中庄町丸いも娯楽会」の活動は今年(平成28年度)で4年目です。これまで能美市が市民団体から募集する「地域力創出支援事業」に挑戦し、運よく3年連続で採択されました。
 1年目の平成25年度には、「地域住民を対象にした加賀丸いもの栽培体験機会の提供、加賀丸いも料理の調理体験機会の創出」というちょっと長い名前の事業を実施。加賀丸いもの応援団「おこのみ志民クラブ」と石川県立大学の学生さんがいも掘りを体験し、学生さんは自分の出身地のお好み焼きを作って食べ比べ。料理教室では「加賀丸いものおいしい料理方法」を学びました。「お好み焼きと丸いも入りごはんバーガー」など、ユニークなメニューも登場しました。
 平成26・27年度には、「加賀丸いも栽培による地域住民との交流及び担い手育成・消費拡大」事業を実施。資金面で悩んでいたところ、事業費で種いもなどの材料を購入することができました。
 この2年間は丸いもに関心をもってもらうために料理教室を開催。料理上手の門脇さんに丸いもの茶巾しぼり(和菓子)を教えてもらったり、そばサークルの方に丸いもそばを教えてもらったりと、当会代表の南さんの人脈から、地域のみなさんの力をお借りしました。
 4年目の今年になって、「本当は地域住民のみなさんと一緒にやることが大事だ」とようやく気付いたんです。そこで地域の方々を巻き込むために、11月の収穫祭で餅つきをやったら大成功!町内の方が参加してくださり、メンバーと交流を深めることができました。


■地道な成果と活用アイディア

 平成28年には新しい後継者(30歳代の男性)が現れました。すでに畑を借りて、丸いものやキャベツを作っています。また、小松の方(70歳代の男性)も「丸いも栽培をやってみたい」と意欲的です。
 一方で課題もあります。丸いもは表作や裏作はありませんが、毎年作る場所を変える必要があります。そのため、地域内で耕地を確保できるよう調整しています。また、農家の方がもつ畑の管理方法などの「農業のルール」をまとめて、栽培者の間で共有することも急がなくてはいけません。
 平成28年には県内で初めて、「加賀丸いも」が国の地理的表示保護制度(GI制度)に登録されました。これは、産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護する制度です。本当に有難いですね。
 「加賀丸いも」のPRと活用方法を考えるのは楽しいです。例えば、傷ついて商品にならなくなったもの。沢山あって、もったない。加工食品や、成分を分析して機能食品として付加価値を高めることができないかと思います。
 農業観光やオーナー制度。和食店との連携。そして、寺井高校や市内教育機関と連携して、若い世代も呼び込んでいきたいですね。「なんか、うまいことできんがかいや」と日々思っています。

現在、メンバーは35名。10aの畑で1.1~1.3トンを収穫しています。年会費は1口5,000円で、「加賀丸いも」5キロ(15個程)がもらえます。(写真は平成26年撮影)

現在、メンバーは35名。10aの畑で1.1~1.3トンを収穫しています。年会費は1口5,000円で、「加賀丸いも」5キロ(15個程)がもらえます。(写真は平成26年撮影)


収穫祭の様子。

収穫祭の様子。


丸いもを使った料理教室を開催。

丸いもを使った料理教室を開催。


毎年、農業体験にやってくる福岡保育園の園児たち。

毎年、農業体験にやってくる福岡保育園の園児たち。


畑には「中庄町丸いも娯楽会」の木札。会員が育てる畝には、会員が名付けた「うねネーム」が立てられています。
畑には「中庄町丸いも娯楽会」の木札。会員が育てる畝には、会員が名付けた「うねネーム」が立てられている。

畑には「中庄町丸いも娯楽会」の木札。会員が育てる畝には、会員が名付けた「うねネーム」が立てられています。