「三人寄れば文殊の知恵」で、まちづくりはもっと面白くなる!


まちづくりに関わり始めたのは、今から20年程前。行政主導ではない「市民主体のまちづくり」という考えが芽生えた頃です。1992年当時は、私はコマニー株式会社(小松市)のコミュニケーションデザイン研究室(CD研)に勤務し、地域社会と企業の関わりを研究していました。コマニーは間仕切り(パーテーション)を造る会社です。CD研ではエンドユーザーの声を拾い、障害者の方が使いやすいオフィス環境などを提案しました。しかし一番の使命は、企業市民として地域内の多様なフィールドに入り込み、「21世紀の地域社会の中で企業はどうなっているか」という企業の未来図を描くことでした。「市民主体のまちづくり」が全国的に盛んになるに従い、様々な人々が集まって一緒に一つのものを創り上げていくワークショップという手法や、会合等が趣旨に沿って進行するように導くファシリテーターという役割が注目されました。CD研のメンバーもそのスキルを習得し、社内外で週3回ほどのペースで、ワークショップの運営とファシリテーター役を担っていました。 |
![]() 「ワークショップin小松」の分科会風景(1996年)。 |
「ワークショップin小松」は3日間にわたるまちづくりの全国的な研修交流会です。コマニーの地域貢献事業として呼びかけ、1996年から3年連続で開催しました。各地でまちづくりに携わる20人程で世話人会を結成し、小松市の八日市商店街の空き店舗を拠点に準備をしました。開催当日は、地域再生と地域活性化が急務であった「西尾地区」「安宅地区」「商店街活性化」というテーマに「市民が主役の公共施設とは」「企業が地域に開かれるには」を加えた5分科会を開催。石川県内や福井はもちろん、東京や名古屋など全国から、まちづくりのキーパーソン約400名が集まりました。 2011年暮れに「能美市商工女性まちづくり研究会」が発足しました。普段の買い物に困っている能美市民を支援する方法はないだろうかと話題になったことがきっかけです。それ以来、この活動のコーディネーターを務めさせていただいています。
1年目はメンバーと月1回のワークショップ。 | ![]() ![]() 新鮮野菜や漬物などを通して地域内外の人が交流する「西尾の特産市・朝市」立ち上げの頃(1998年)。 ![]() ピンクは能美市商工女性まちづくり研究会のイメージカラー。 |
活動を始めたばかりの頃は「いつまでやれるか分からないけど」と言っていたメンバーでしたが、活動を通してすぐに感性が動き出し、「もっと人と出会いたい」「喜びをみんなで分かち合いたい」という気持ちが強くなりました。普段それぞれの仕事に従事しているメンバーにとって、この無償ボランティア活動は「普段の商売と違い、『金、金、金』ということを忘れられる『月2回の癒しの時間』」だそうです。移動販売を行っていることが知られるにつれ、「うちのまちにも来てよ!地域に賑わいをつくって!」という要望が寄せられています。地域住民との出会いや喜びの共有が嬉しく、それが活動の原動力につながっています。 私のモットー(信条)は、「三人寄れば文殊の知恵、みんなで知恵を出せば、まちづくりはもっと面白くなる!」です。人それぞれ価値観はばらばらですが、お互いに補完し、知恵を合わせれば、関係や物事はもっと良くなります。特に「市民一人ひとりが主役となるまちづくり」においては、参加者同士が相互理解し、合意形成をはかりながら創り上げていくワークショップが有効な手法だと考えています。 |
![]() 商品は活動趣旨に賛同してくれる5つの仕入れ先から集めている。 ![]() 移動販売日を待っている住民が多い。 |
○近著「猫にまたたび人にはキャリア」(本の泉社)