のみにこブログ 最新のお知らせはこちらから
利用申請書 使用料減免申請書 申請用紙ダウンロードはこちら
のみにこカレンダー イベント情報はここチェック
中庄町丸いも娯楽会オーナー JA根上丸いも部会部会長 本 忠義 Moto Chugi 能美市中庄町在住
はぐはぐ農園代表 菜園生活指導員 河並奈々 Kawakami Nana 能美市緑が丘在住
能美市商工女性まちづくり研究会会長能美市商工会女性部部長 北野ゆかり Kitano Yukari 能美市寺井町在住
認定特定非営利活動法人えんがわ代表理事 中田 八郎 Nakada Hachirou 能美市泉台町在住
キャリアコンサルタントコミュニケーションデザイナーキャリアデザインオフィス・マイダ代表 毎田雄一さん Maida Yuichi 能美市下ノ江町在住
金沢子どもの本研究会 能美支部 事務局 義本真佐美さん Gimoto Masami 能美市松が岡在住
タント演劇学校 代表世話人 能美市郷土芸能保存会 会長 國分谷彦さん Kokubun Tanihiko 能美市根上町在住
能美柚(ゆう)ゆうゆう倶楽部 事務局・会計 河端 節子さん Kawabata Setsuko 小松市小野町在住
能美の里山ファン倶楽部 畑中 茂伸さん Hatanaka Shigenobu 能美市仏大寺町在住
加賀おしずし研究会 副代表 ほのかグループ代表 木戸 真津子さん Kido Matsuko 能美市岩本町在住

まちづくりキーパーソン vol.02

自主財源確保に向けた旬の企画は、
能美の里山をおいしく楽しめる「加賀丸いもカレー」と「ピザ窯」!

能美の里山ファン倶楽部 畑中 茂伸さん Hatanaka Shigenobu 能美市仏大寺町在住
■1 ふるさとの魅力を発信して8年目

 平成17年(2005年)に旧3町が合併して能美市が誕生。合併後すぐに、庁舎内に中山間地振興課が置かれました。辰口は中山間地域で、特に東部から南部が山あいです。市では中山間地域の振興を進めるため「里山研究会」を立ち上げ、1年目は行政主導で、里山保全を担う新団体設立に向けて準備が進められました。当初のメンバーは里山エリアの18集落とアーティスト村を含めた19地区、その中から6名の世話人を選び、行政の担当課を交えた準備会を経て、平成18年6月に市民団体「能美の里山ファン倶楽部」が発足しました。「人を育み、里山を守り育て、地域力を高めながら、日本一活力のある地域づくりをめざす」ことを理念に掲げています。
 設立後の活動は、19地区からの理事といしかわ自然学校を修了したインストラクター、行政の担当者が一体となって取り組んできており、正に能美市の協働の先駆けとも言えます。代表世話人だったアーティスト村の漆芸作家・野村大仙さんと私は、発足時から現在まで活動を続けています。

活動拠点の「こくぞう里山公園交流館」。現在は事務室スタッフ1名が常駐。研究発表や体験教室、ギャラリーにも活用されている。

活動拠点の「こくぞう里山公園交流館」。
現在は事務室スタッフ1名が常駐。研究発表や体験教室、
ギャラリーにも活用されている。

■2 能美が世界に誇る「里山の匠」

 今でこそ、「里山」「里海」という言葉をニュースで聞かない日はありませんが、発足当初は世の中ではまだ「里山」という言葉が使われ出したばかり。私自身「辰口に里山(さとやま)っていう名前の山があるんかいな?」と思っていたくらいです。
 里山保全の知識や技術、運営の方法は、文献や講習会の他、外部の研修会や先進地視察で学びました。能美市に専門家を招いて研究会も開催しました。まさに手探りのスタートでしたが、心強かったのは、メンバーが抱いている「地域への思い」が一緒だったこと。少子高齢化や人口減少という社会的背景や、郷土の里山が荒れてきている状況を踏まえて、何とか守り伝えなければという目の前の現実が見えてきた時期でした。
 まずは、荒れた里山の再生と管理、資源の再利用など、自分たちがこれから行う活動の拠点とシンボルになるものを作ろうと、炭窯と炭焼き小屋づくりに取り掛かりました。有難いことに、炭焼きの専門家や地元の大工さんなど、地域に住んでいらっしゃる皆さんが応援してくださいました。
 私たち「能美の里山ファン倶楽部」が今日に至るまで活動を続けてこられた大きな理由は、この土地に根ざした専門家や協力者、自然に精通した「里山の匠」の方々がいらっしゃったからです。中でも副会長で、和気町在住の安田二三男(あんだふみお)さんは、山に入ると樹木や花の名前を全部教えてくれるほどの博士です。日本百名山も踏破されています。この方が中心になり、森づくりの年間活動スケジュールを指導してもらっています。豊富な知識と経験は日本一だと思っています。

活動のシンボルである炭焼き小屋。炭窯は地域の神社にちなんで「瀧浪窯(たきなみがま)」と命名された。

活動のシンボルである炭焼き小屋。
炭窯は地域の神社にちなんで「瀧浪窯(たきなみがま)」
と命名された。

■3 「稼げる民間団体」をめざして進む

 私たちは純然たるボランティア団体ではなく、最初から稼げる民間団体をめざしてきました。補助金もいつかはなくなる、メンバーが自由気ままに活動していても専従の事務員を雇えるくらい収入がある団体になりたいと願ってきました。発足2年目、3年目になると、活動継続には資金が絶対に必要だということが切実な課題になってきました。
 自主財源確保のノウハウを学ぶため、先進地視察を重ねました。しかし、そこでは成功事例ばかりが紹介されます。メンバーが本当に知りたいのは失敗例。紹介事例も、自分たちの経験から考えるとうまくいっていないはずだと感じながらも、どうも失敗した部分が見えてきません。それに「にわか」にどこかの何かを真似て稼ごうとしても、やっぱり「武士の商売」。素人には簡単ではありませんでした。
 里山の資源を素材に、模索しながらの商品づくりを始めました。自分たちの活動を紹介した機関誌「ほっこり」を編集制作し、メンバーで手売りして売り上げを積み立てていくことも経験しました。
 炭焼き小屋で作った木炭は「瀧浪(たきなみ)炭」として、切り炭1キロ250円で販売。もともと私たちが木炭を作るのは山を整備するためであり、売って稼ぐということは主旨ではありませんが、品質レベルまで引き上げ、ビジネス化することをめざしました。
 ちなみに木炭は年間15~20回焼きます。去年までの実績では月1~2回のペース。1回で焼く量は約250キロです。まず伐採して木を揃えるのに人出がかかります。箱詰めが終了するまで約3週間です。専門メンバーが15名ほどで作業にかかり、常時2~3人が炭焼き作業のために動いています。
 木製の手作り家具も販売しています。「のみにこ」の交流スペースにあるテーブルと椅子は、当団体が発注を受けて製作したものです。その他に、しいたけやしいたけの原木を販売したりして、現金収入を確保しています。

「瀧浪炭(たきなみずみ)」は切り炭で1キロ250円。すでに焼肉屋店などに販路が開拓されている。

「瀧浪炭(たきなみずみ)」は切り炭で1キロ250円。
すでに焼肉屋店などに販路が開拓されている。

■4 「食」をテーマした商品づくりに挑戦

 平成25年春からは、6次産業化によるオリジナル商品を企画・販売しています。
 「加賀丸いもカレー」は、これまで100種類以上のカレーを手がけた日本薬膳協会に協力を依頼し、完成させたご当地カレーです。最初はゆずカレーや名水カレー、かぼちゃカレーなどを試作してみました。かぼちゃだと溶けてしまいます。そこで少々高価ですが、思い切って地元特産の「加賀丸いも」を使うことにしました。「平成の名水百選」に選ばれている仏大寺の「遣水観音霊水」でじっくり煮込み、50種類ものスパイスを使用しており、辰口の国造ゆずで仕上げました。少し酸味が効いたエスニックな味わいで、ちょっと大人向きの薬膳カレーと言えます。
 独特の食感や味にも相当こだわりましたが、今回メンバーが最も力を注いだのはパッケージです。最初は箱型にしていましたが、「能美の里山ファン倶楽部」ならではの紙で商品をくるみ込むかたちで、「買ってくださった方に、能美の里山を楽しんでいただける仕掛けをしよう!」ということになりました。
 デザイナーも私たちの意図をくんで、遊び心たっぷりに創作してくれました。素朴なタッチで描かれているキャラクターの「丸いもくん」と、その家族がところどころに登場。「丸いも占い」「丸いもの歌」「丸いもことわざ」など、デザイナーの柔軟な発想とユーモアセンスがあふれています。中面を開くと、能美の里山の「ショートトレイルマップ」(地図)になっています。カレーを食べ終わっても、手元に残しておきたくなる愉快なものに仕上がりました。
 「加賀丸いもカレー」は、自分のふるさとを紹介するお土産としても喜ばれています。ご法事の引き出物にされる地域の方もいらっしゃって、いろいろな使い方があるのだと教えられました。バリエーションや販路はこれから広げていきます。
 また、3月にはピザ窯のレンタルと発売を開始しました。レンタル料は1回3,000円で、薪(まき)は1束350円で販売しています。半日で3束くらい使う方が多いようです。桜の薪を使うと、とても良い香りが広がります。
 3月16日には、まちづくり体験活動「はぐはぐ」と第3の生活拠点創出実行委員会の協力で、こくぞう里山公園交流館横を会場に「ピザ窯お披露目会」を開催しました。家族連れなどが集まり自分たちでトッピングした焼きたてのピザをほお張って里山の一日を楽しんでくださったようです。
 今後は里山で育てたきのこなど旬の野菜をセット販売したり、ピザ窯の組み立てキットを売り出したりするなど「能美の里山」をまるごと楽しんでいただけるような商品展開を予定しています。

丸いもがごろっと入った「加賀丸いもカレー」(盛付け例)。1パック600円(税込み)で、限定1,500食。「こくぞう里山公園交流館」で販売している。

丸いもがごろっと入った「加賀丸いもカレー」(盛付け例)。1パック600円(税込み)で、限定1,500食。
「こくぞう里山公園交流館」で販売している。


素朴なタッチで、目を引くパッケージ。紙面いっぱいに笑える仕掛けがされている。

素朴なタッチで、目を引くパッケージ。
紙面いっぱいに笑える仕掛けがされている。


参加者が焼きたてのピザを楽しんだ「ピザ窯お披露目会inこくぞう里山公園交流館」。餅つきやカフェも開催された。

参加者が焼きたてのピザを楽しんだ「ピザ窯お披露目会inこくぞう里山公園交流館」。餅つきやカフェも開催された。